動かないことで起きる病気に要注意

生活不活発病とは、生活様式の変化により、活動が鈍くなって起きる病です。
例えば、傷病によって入院すると、ベッドに横たわる時間が長くなり、動きが鈍くなってしまいます。

高齢者ともなると、療養によって余計に動きが鈍くなり、疲労感も大きくなるため、回復後もベッドに横たわったままになりがちです。
しかし術後は行動制限がされるため、やむを得ない部分はあります。

また、定年退職後に自宅に籠もることが増えたり、災害時に仮設住宅などに移って外出の機会が減ったりする場合も同様です。
こうした要因以外にも、猛暑の夏場や極寒の冬場に家から出なくなり、生活不活発病を発症する人もいます。

生活不活発病の症状は様々で、心肺や消化器の機能が低下するほか、食欲不振や便秘になったり、起立性低血圧や脱水症状を引き起こすこともあります。
脱水症状は、頻尿により血液が減るため生じる症状です。

また、関節や皮膚など特定の部位に症状が現れる事例も見られます。
廃用性筋萎縮や廃用性骨萎縮に加え、皮膚萎縮に至るケースも珍しくありません。
静脈血栓症から肺塞栓症に陥る人もいるのです。

さらに、生活不活発病は、身体的症状だけでなく、精神や神経にも悪影響を及ぼします。
うつ状態になったり、自律神経が安定性を欠いたりする人が多いほか、知的活動や調節機能が低下するという症状も見られます。

そうなってしまうと、何事に対しても無気力かつ無関心になり、集中力が著しく衰えてしまいます。
同時に姿勢が悪くなったり運動機能が劣化したりする人も少なくありません。

このような深刻な症状を引き起こす生活不活発病は、予防するための工夫が必要です。
日頃から望ましい運動量を心得ておき、生活環境が変わっても室内を歩くなど、運動のための万全の準備しておくことが大事なのです。